髪に、額に、目元に。 キスの雨が降る。 頬に、唇に。 キスの雨が降る。 耳たぶを軽く食まれ、囁かれた。 「ずっと、あなたが好きだった……」
首筋を軽く吸いながら、清四郎があたいのバスローブの襟元を広げる。 滑り込んできた熱い手に胸を揉まれ、あたいの息も熱くなる。 下りてきた唇に先端を咥えられた瞬間、跳ねる、あたいの身体。 思わず漏れた声は、自分でも聞いたことのない声。 性急な手が、バスローブの紐を解く。 はだけられ、露にされた肌に、清四郎が情熱の跡を刻み込んでいく。 ひとつ、ふたつ、と。
白いホテルの天井、曇った窓。 清四郎が囁く愛の言葉と、自分の喘ぎ声しか聞こえない。
清四郎の手が、あたいの内股を撫ぜる。 思いもかけない場所に清四郎の舌が這わされ、あたいは羞恥で身を捩る。 足首を掴まれ、大きく広げられて、逃れられなくて。 あたいはただ、声を上げ続けていた。 あたいの中の、女の声を。
今までに感じたことのない感覚に翻弄され、くったりとしたあたいの身体。 清四郎がいったん身を離し。自分のバスローブを脱いだ。 何もその身にまとっていない清四郎は、まるで彫刻のように美しい。 うっとりと見上げるあたいを抱きしめ、ぴたり、と身体を合わせた。 胸も、お腹も、腰も、清四郎とひとつになる。 鈍い痛みに耐えながら、清四郎の顔を見つめた。 「ああ、悠理…」 あたいの胸に顔を擦り付けるようにして、清四郎が喘いだ。 清四郎が感じているのだと思うと、あたいの痛みは和らぐ。 緩やかに内側を擦られて、あたいの唇からまた、声が漏れ始めた。
荒い吐息。潤む瞳。 清四郎の額や、手を回した背中ににじむ汗。 部屋の中に、清四郎の汗の匂いが漂う。 ひどく懐かしく、好ましい香り。
清四郎の動きが早まるにしたがって、眩み、途切れる意識。 強く、清四郎にしがみつき、その胸に口づけた時――― 清四郎がひときわ強くあたいの中を突き、果てた。
大きく息を吐き、あたいの首筋に落ちた清四郎の頭を抱き、あたいは涙を流した。 喜びの、涙を。 清四郎に抱かれたのだという、喜びの涙を。
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