2.

 

 

 

すっかりボタンの外れてしまったシャツを脱ぎ捨てると、悠理の首筋に顔を埋めていった。
「・・ん・・はぁ・・・」
悠理は清四郎の頭を抱え込む様に髪の中に手を入れる。

清四郎の手は脇の下から脚の付け根までの曲線をなぞり、また上へと戻らせる。
小さな膨らみに辿り着き、邪魔な布を取り去るとそこはもう、自らを主張し始めていた。
片方は手で揉みしだき、もう片方は舌で攻める。
甘く噛み、きつく吸い上げる。
「・・っやぁ・・はぁ・・・せいし・・ろ・・」
悠理もいつもより感じるのか、腰を浮かせようとしている。
その腰を抱き寄せ、舌を胸の頂きから徐々に悠理の中心へと這わせていった。

指先で軽く触れると、それだけで悠理の身体はビクンと大きく跳ね上がった。
もうぐっしょりと濡れている最後の一枚を一気に剥ぎ取る。
悠理の足を大きく開かせると、顔を近づけた。
「・・いし・・ろ・・、ん・・ふはぁ・・・」
シーツを握り締める手に自分の手を絡めると、一番敏感な場所に唇を寄せた。
「やぁ・・はぁ・・・」
悠理の身体がさらに熱くなる。
その熱と独特の香を舌で感じ取っていった。
「せいしろ・・・、あた・・い・・、んはっ・・も・・もぉ・・・」
絡めていた手に力が入る。
「・・まだ、ダメですよ。」
清四郎は顔を離すと、悠理の中に押し入っていった。

悠理の頭の横に両手をつき何度も突き上げる。
その度に悠理の口からは自分だけしか聞くことの出来ない「女」の声が漏れる。
だが、清四郎の中のほんの少し残っていた理性が、ここが学校だという事を忘れないでいた。
誰かが、この部屋の前を通ればこの声が聞こえないとも限らない。
清四郎は、悠理の口を己のそれで塞いだ。
悠理の腕が背中に絡みつく。
声を出せなくなった悠理は清四郎の背中に爪を立てる。
何本もの傷跡が背中に残る。
徐々に清四郎のスピードも速くなってきて、思わず唇を離す。
お互いの息遣いが荒くなる。
「せ・・・・し・・ろ・・・・」
「悠理・・・」
二人は一緒に果てた。
同時に悠理は意識を手放していた。


あれからどのくらいの時間が経ったのか。
いつの間にか部屋は薄暗くなってきていた。
傍らに眠る悠理の肌はもう火照りも冷め、自分がつけた紅い印があらゆるところに浮きあがっている。その一つ一つを指で辿る。
元々あった熱も先ほどの運動でどうやら下がったようだった。
(目を覚ませばきっと悠理は怒るでしょうねぇ。さてなんと言って宥めようか)
元はと言えば悠理が悪いのだがそんな事を言っても無駄なのは目に見えている。それに正気じゃない状態を抱いてしまった事への後ろめたさもあった。

とりあえず起こさなくては。このままここに寝かせておくわけにもいかない。
頬をぺちぺちと叩くと少し身じろいだ。
うっすらと目を開ける悠理。
「大丈夫ですか?」
「・・・うん?あれ?なんで・・・。」
一瞬の間の後悠理は、大きく目を見開きばっとシーツの中を覗き込んだ。
自分の姿を確認しているらしい。
「思い出しましたか?」
その答えは・・・。
「うわぁっ!」
清四郎はベッドから突き落とされた。
「な、なんなんですか!」
「それはこっちの台詞だぁ!お前、あたいが寝てるのに手ぇ出したのかぁ!」
真っ赤になっている悠理。
清四郎は呆気にとられた。どうやら悠理は覚えていないらしい。
「お、覚えてないんですか?」
「何をだよ!」
「何をって・・・」
清四郎は先ほどのことを話そうとした。
だがいくら悠理の方から誘ったんだと言っても信じないだろうし、ましてそれが薬の所為だとわかれば、ただで済む訳がない。
「こんなトコにそんな危ない薬を置いておく方が悪いんだー!」と言って、
結局自分の所為になるのは、火を見るよりも明らかだった。
どちらにしたって、悠理の機嫌は暫く戻りそうにもない。
「イイワケ」という無駄な努力を止め開き直ることにした。

「あー!もういい!何も聞かない!」
なにか言いかけたまま、黙ってしまった清四郎に悠理は痺れを切らしてそう叫んだ。
やはり相当怒っているようだ。
「ハイ、ハイ、スイマセンでしたね。それよりこのカッコじゃ寒いんで僕の服とって貰えませんか?」
清四郎の服は落ちた方と反対側に脱ぎ捨ててあった。
「お前、全然反省してないだろー!服なんか知るか!」
そう言って、さっさと自分だけ身なりを整えると部屋を後にした。

悠理が部屋を出た後、清四郎はのんびりと服を着ると、怒ってはいてもきっと自分が来るのを待っているであろう悠理の元へ向った。



翌日
「はーっくしょっ!」
「おいおい清四郎、カゼかぁ。昨日無理したんだろ。悪かったな、おまえに全部任しちまって」
「・・・いや、いいんですよ。カゼの原因はきっと他のことですから」
「なんかあったのか?」
「まぁ色々と・・・。はっくしょっ!」

 




 

おわり

 

 

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