『 Junior Sweet 』
「本当にいいんですか?悠理」 「ん」 清四郎の問いかけに、悠理は真っ直ぐに清四郎の瞳を見つめて答えた。 白いボタンダウンシャツに、オフホワイトのズボンをはいた清四郎。 白と生成りのボーダーTシャツに、ベージュのすとんとしたマリンパンツの悠理。 ホテルの最上階のスイート・ルーム。 上品に白を基調にまとめられた部屋の、天蓋つきベッドの上にチョコンと座って。
―――ここまで来てイヤも何もないだろ。
悠理はおかしくなった。 付き合いだしてもう3ヶ月。 「あいつは絶対手が早いだろうから、覚悟しときなさいよ〜」 清四郎と付き合い出した事を告げた時、可憐はそう言って笑っていたけど。 清四郎はずっと待っていてくれた。悠理の心の準備が出来るのを。
そっと、清四郎が両手を悠理に向かって差し伸べた。 悠理がそっとその手に自分の手を重ねる。 清四郎がおどけて、その手をダンスをするように揺らす。 思わず笑いだしながら、悠理も身体を揺らしてそれに答えた。 額を寄せ合って、クスクス笑う。 ふと、目と目が合った。ドキドキするほど優しい清四郎の瞳。
手をぎゅっと繋ぎあったまま、ちゅ、とキスを交わす。何度も、何度も。 キスを交わしながら繋いでいる手を高く上げられ、悠理はバンザイの格好になった。 清四郎の手が離れて悠理のTシャツの裾を持ち上げ脱がせる。 キスを繰り返しながら自分のシャツのボタンを外し脱ぎ捨て、逞しい上体を露わにする。 除々にキスが深くなっていき悠理はそっとベッドに横たえられた。
清四郎の大きな手が悠理の髪を撫でる。 口づけが頬に、耳たぶに落とされる。 「…んっ……」 耳たぶを甘く噛まれ、悠理は小さく声を上げた。 髪を撫でていた手で悠理の頭を抱くようにして清四郎は悠理の首筋にキスを落としていく。 そっと、鎖骨に舌を這わせる。びくん、と反らされた悠理の背に手を回し、ブラのホックを外した。 「あ…」 思わず、抑えようとする悠理の手をつかみ、もう一方の手でブラを剥ぎ取る。 鎖骨から肩へと這わせていた舌の動きを止め、顔を上げて悠理の胸に視線を落す。 「やだよぉ」 恥ずかしいのか、胸を隠そうとする悠理の手をそっと左右に押し開く。 「綺麗ですよ。とっても」 そういうと、桜色に色づいた先端に舌を這わせ、咥え、軽く引っ張る。 「あ…あっ…ううん…」 悠理はたまらず声を上げ、恥ずかしそうに顔を横に向けて目を閉じた。 清四郎の手がもう片方のふくらみに伸び、ゆっくりと円を描くように撫でる。 空いている手を悠理のズボンの前ボタンに掛けると器用な指先ではずし、ファスナーをおろす。 ゆっくりと悠理のすんなりした足のラインに手のひらを沿わせながら下降させて行き、太腿を外から内側に撫でた。
繰り返される胸への愛撫と優しい手のひらの感触に、悠理は夢見心地だった。 「…ん…んっ……あっ、ああん…」 自分の口から漏れる甘い声に、悠理は信じられないような気がしていた。 こんな風に清四郎に抱かれることなんて、つい半年ほど前までは思っても見なかったのに。 「悠理、かわいい…好きだ、悠理……好きだ…」 清四郎が囁く熱を含んだ言葉に、悠理の身体も熱を持つ。 「せいしろ…好き。大好き」 そう答えて、悠理はぎゅっと清四郎の首にしがみつく。 口づけがゆっくりと下降していく……
「ああっ!やん……」 敏感な部分に口づけられて、悠理は思わず身を捩って逃げようとした。 何故だかわからないけど、瞳に涙が浮かぶ。 清四郎が顔を上げ、気遣わしげに悠理を見つめた。 「悠理…?」 「…こわい。せいしろ…なんか…あたいの身体、ヘン」 「……」 涙がいっぱい溜まった瞳で見つめられて、清四郎の胸がぎゅっと痛む。 伸び上がって悠理の横に寝そべり、華奢な身体をそっと抱いた。 悠理がこわいと言うのなら、ここで止めてもいい。そう、思いながら―――
「大丈夫ですよ」 悠理の下肢に伸ばした手で、そっと敏感な部分を撫でる。 見つけ出した快楽の芽を、指先で優しく刺激する。 「あっ…ん……」 とろとろと、悠理の内側が溶け出すように、花芯から蜜が湧き出してくる。 清四郎の長い指が蜜を掬い、また塗りつける。
「ん…あん…あん…」 鼻にかかったかわいらしい声で喘がれ、清四郎は堪らぬかのように何度も何度も悠理に口づけた。 悠理の赤く染まった瞼に、頬に、耳たぶに、そして、唇に。 「悠理…こわいのなら、ここで止めてもいいと思ったんですが…」 清四郎の息も、荒くなっていた。 「もう、止められそうにありません。許してください」 「いいよ…して。せいしろう…」 悠理は頷き、清四郎の首に手を回してぎゅっと抱きついた。
清四郎がゆっくりと入って来た時、悠理は小さな悲鳴を上げた。 清四郎はいったん動きを止め、安心させるように悠理の瞳を見つめて少し微笑み、頷いた。 「力を、抜いて」 「う、うんっ」 悠理は素直だ。頷くと、大きく息を吐いて力を抜いた。 その様子を熱い目で見つめながら、清四郎は馴染ませるように小さく腰を動かし、徐々に自分を埋めていった。
「はぁ…ゆう、り」 完全に埋め込むと、清四郎も大きな息を吐いて悠理を抱きしめた。 悠理に、包み込まれる。やっとひとつになれた――― 「あ…せいしろ、せいし、ろ…」 悠理の言葉は、清四郎の唇に塞がれる。
ひとつになれた喜びに、悠理も一筋涙を流した。
*****
「痛かった、ですか?」 事の済んだ後、恥ずかしいのか背中を向けて横たわっている悠理を、後ろから抱きしめながら清四郎が聞いた。 「ちょっと…でも、大丈夫」 消え入りそうな声で答える悠理に、清四郎は胸が詰まる思いがした。 「悠理、こっちを向いてください」 そう言うと、悠理の身体を自分に向きなおさせた。 悠理は素直に身体の向きを変え、じっと清四郎を見つめた。
「悠理、僕は嬉しかったですよ。悠理が僕を受け入れてくれて…悠理とひとつになれて…」 ありがとう、と言いながら、清四郎は悠理の額に口づけた。悠理は、軽く目を閉じた。
「清四郎……あたいも、嬉しかった……」 「ずっと、大事にしますね。悠理のことを」
もう一度、清四郎は悠理の身体をぎゅっと抱きしめた。 悠理も清四郎の背に手を回し、固く抱き合った。 幸せな時間。 甘く、少し切なく。 二人は、初めての夜と朝を迎える。
二人の互いを思う心と同じ、真っ白なこのJunior Suiteで――
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