皐月空

 

 

「ああ、気持ちいいな」と、大きく伸びをしながらおまえは空を見上げた。

青い青い5月の空はおまえによく似ている、と僕は思う。

どこまでも澄み切っていて、どこまでも見渡せるのに、

手の中に収めてしまうには途方もないほどに大きすぎる。

それでも、ただ眺めていただけの昔とは違って、

今の僕は、おまえの事を良く知ることができたから、

いつかは、この手におまえを収めてしまうことだって出来るかもしれない。

その日を楽しみに、僕はおまえの隣で大きく伸びをする。

強く願えば、かなわないことなど何もないだろう、きっと。

 

イラスト:ネコ☆まんまさま 文:麗