僕の夏休み By ネコ☆まんまさま
一面に広がるひまわり畑―――
「すげーーーっ!!」 駆け出す悠理を追って、僕も駆けた。 背丈ほどにも伸びた、ひなた色の洪水。青い空との、強烈なコントラスト。
二人並んで眺めていると、悠理が寂しそうに呟いた。 「高校生活の夏休みも、これが最後だな。これから、皆、どうなっていくんだろう・・・」
日に焼けた彼女の頬の丸さを見つめながら、僕も追憶に浸る。 6人で過ごしてきた、この4年間の様々な夏の風景を。 そして、その中に輝く、悠理の笑顔を。
ちゅ。 「なっ……」 不意打ちの、頬へのキスに、悠理は真っ赤になって頬を押さえた。 呆然と見返してくる彼女に、僕はイタズラな笑みを浮かべる。
時は流れて行く。 遠い未来は見えないけれど、何度夏が来ても、僕達はずっと共にいる。 このひまわり達も、一度は枯れてバラバラになっても、こぼれ落ちた種から再び芽吹き、 来年の夏、よりいっそう大きなひまわり畑を形作るだろう。
ぽかぽかと殴りかかってきた悠理の腕を掴み、自分の胸に引き寄せた。 照りつける太陽、ムッとくる草いきれ。 目を細めて見上げた空に、白い雲を引いて飛行機が飛んでゆく。
見えない筈の明日が、ほんの少しだけ見えた。 僕の、夏休み―――。
文:麗
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Material By snow white **さま