夜」

 

 

 

「・・・本当に良いんですね・・」
清四郎は悠理をベッドに横たえると、顔の両脇に腕をついてまだ涙の残るその瞳を覗き込んだ。
悠理は頷く代わりなのか、ぎゅっと眼を瞑る。
緊張とこの先への不安なのか自らの服を握り締めている。
瞼に触れるだけのキスを落とすと悠理の身体がびくりと揺れた。

うっすらと眼を開ける悠理に少しだけ微笑むと、今度は先ほどまで瞳と共に硬く閉じられていた、唇へと口付ける。
唇を舌でなぞるようにすると簡単にその口は開いた。
逃げようとする舌を捕まえ、絡めとる。

慣れない感覚に戸惑っているのか、悠理の手はいつしか清四郎の肩を掴んでいた。
角度を変えながら幾度も口付けていく。
時折、頬や瞼にもキスをしていく内に悠理の体から力が抜けてきた。
肩を掴んでいたその手はおずおずといった様子で清四郎の首へとまわされる。
首にあたる冷たく滑らかなその感触に、清四郎の体は一気に熱くなった。

唇から顎、耳朶へと口付けていく。
耳朶を軽く噛んで舐めあげると、首に巻きつく腕に力が入った。
「せいしろ・・、くすぐったいよ・・・」
身を捩る悠理がかわいくて何度も舐める。
入り口に舌を入れると悠理の口から声が漏れた。
「ん、ふはぁ・・」
そのまま細い首へと唇を移す。
耳の下あたりをきつく吸い上げると白かったそこは紅い跡が生まれた。

清四郎の手がゆっくりと悠理の体のラインをなぞっていく。
あの食べっぷりからは想像できないほどのくびれた腰を通りすぎ、パジャマ代わりに着ているビッグTシャツの裾から手を滑らせる。

途端に緊張する悠理を安心させる様に深く口付ける。
力が抜けてきたところで、今度は素肌の上を逆の順序でなぞっていった。
その間にも顔や首筋に触れるだけの口付けを落としていく。

悠理の腕を首から外すと、Tシャツを脱がせた。
反射的に胸を隠そうとするその腕を掴んで、指先に口付ける。
悠理の顔にチラッと眼をやると睫がかすかに震えていた。
腕を開いて覆い被さると、悠理の耳元に口を近づけた。
「悠理、怖いか?」
「んんん、大丈夫・・・怖く・・ない」

清四郎は軽く唇にキスをすると、悠理の身体に手を滑らせていった。
自分の手にすっぽりと収まる小さな膨らみを優しく揉みしだいていく。
「・・ふぁ・・・や・・」
片方の手は悠理の頭をかかえ抱き柔かなその髪に手を入れる。
硬くなってきた先端をおもむろに吸い上げると、悠理の身体が反りかえった。
「イヤァ・・はぁ・・・」

悠理をもっと感じたくて、清四郎も身につけていたものを全て取り去った。
唇や手だけでなく全身で感じる悠理の肌は、まるで清四郎の肌に吸い付く様だった。
貪るように悠理の身体に唇と手を這わす。
「んはっ・・・あぁ・・」

左手で唇に触れるとその指を口に含んで甘噛みされた。
身体を起こしその指を抜くと、名残惜しげに悠理の赤い舌が小さく開かれた口から覗く。
たまらずその唇を塞いだ。
お互いの唾液が交じり合い、唇を離すと細く糸を引いた。

清四郎はもう一度身体を起こすと、右足を折り曲げ硬く閉じ合わされた悠理の膝の間へと手を滑らせた。
悠理はその感触にさらに膝を頑なにする。
清四郎は焦らず腰や腹部にキスを落とし、手で膝や足首を撫で上げ、無理に膝を割ろうとはしなかった。
だんだんと悠理の膝から力が抜けてくる。
それでも清四郎ははやる気持ちを抑え、ゆっくりと手を滑らせていった。

悠理の中心に指が触れると、開きかけていた膝が再び閉じようした。
「ふあぁっ・・・・」
それを片手で止め、ぐっしょりと濡れた最後の一枚を脱がせた。
「せ・・しろぉ・・・」
清四郎はシーツを握り締めていた悠理の右手を彼女の頭上で自分の左手と絡ませ、唇を塞いだ。
もう片方の手で悠理の中心に触れる。
「ん〜っ」
口を塞がれている為、悠理は声が出せないでいた。
清四郎の指は何度も何度も往復し、蕾を押し潰す。
その度に聞こえる淫らな音が悠理の羞恥心を煽った。
だが清四郎に触れられているその場所が、自分とは別の意思を持っているかのように逃げる事を許さない。

清四郎の節のある指が悠理の中に入ってくる。
思わず悠理は顔を反らした。
「・・っあぁっ・・・・」
はじめて異物の進入を許したそこは、きつく清四郎の指を締め上げた。
清四郎はゆっくりと、引き抜く。
「ふぁぁ・・」
しかしまたすぐに悠理の体内へと戻し動かしていった。

眼を硬く閉じ、眉間に皺を寄せる悠理の瞼にキスを落とす。
「・・大丈夫か?」
微かに頷く悠理を見て、清四郎は指を抜いた。

悠理の腰を持ち上げて、足を開かせる。
その間に入り込み、自分自身をあてがった。
「くっ、はぁぁっ・・」
一気にはいかず、少しずつ一つになっていく。
悠理はさらに大きく身体を反らせている。
痛むのか眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。
清四郎は暫く動かずに悠理が慣れるのを待った。

だが清四郎とてそう我慢できるものでもなかった。
「・・・悠理。いくぞ」
清四郎はゆっくりと腰を動かした。
「っやぁぁっ・・・!」
必死に悠理が清四郎の腕を掴む。爪を食い込ませるほどに。
それでも清四郎はもう止められなかった。
指のときとは比べ物にならないほど悠理の中はきつく、そして熱かった。

なるべく負担をかけないようにゆっくりと動く。
そのうちに悠理の表情に変化が出てきた。
硬く閉じられていた瞼に力がなくなり、恍惚の表情へと変り始める。
清四郎が動くたびに、駄々をこねる子供の様に首を振る。
悠理の足が痙攣し始めた。
何度もシーツの上を滑る。
清四郎は律動を少し早くする。
「っはぁ、はあぁ・・」
「せ・・しろ・・・っ」
「っ悠理・・!」
―――清四郎は悠理の中に自分の全てを注ぎ込んだ。


清四郎は悠理をそっと抱きしめ瞳から零れる雫を己の唇で拭うと、そのまま額にキスを落とした。

ふたりの時間は、まだはじまったばかり・・・。

 

 

 

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