「not standard」

 

 

 

「なぁ、清四郎ぉ。どっか行こうぜー」
悠理は退屈で仕方なかった。
さっきまでゲームをしていたのだがそれにも飽きてきていた。
清四郎はと云えば、机に向い悠理には理解不能の言語でノートに何やら書いている。
「後もうちょっとで終わりますから、もう少しゲームしててください」
本とノートから目を離さず応える。
悠理は机の周りをちょろちょろ動き回り、本やノートを取り上げようとするのだが、清四郎に敵うはずもなく。
一向に勉強を止めない清四郎に、悠理は最後の手段を使うことにした。

ふたりの付き合いは、もうメンバーの知るところとなっているのだが、みんなの前ではあまり恋人同士を感じさせない様にしていた。
だからふたりきりでいるときぐらい、悠理は清四郎に自分のことだけを見ていてほしかった。

「せーしろぉ。いい加減止めろよー。あたい退屈だー」
甘えるような声で、後から清四郎の首に両手を巻きつかせる。
清四郎が甘えられると弱い事を、悠理は今までの経験から学んでいた。
普段、女を感じさせることが少ないだけに偶にこんな風にされると清四郎もついつい甘くなってしまうのだった。
だが今日に限って、清四郎はのって来なかった。
「だから、後少しなんですってば」
「なんだよぉ。お前、あたいと勉強とどっちが大事なんだよぉ」
「よくそんな事が言えますね。部屋に入るなり僕の事なんかほったらかしでゲームに夢中になっていたのはどこの誰なんですか?」
清四郎がのって来なかった理由はこれらしい。
確かに悠理は、学校からふたりで帰ってきたのに、清四郎の部屋に入るなりいきなりゲームを始めてしまった。
ほったらかしにされた清四郎は、仕方なく論文の続きを仕上げていたのだった。
すっかり拗ねてしまっている清四郎。悠理はさらにご機嫌を取るように右から顔を覗き込んだ。
「ごめーん。あたいが悪かったよぉ」
それが効いたのか、ボールペンを動かしていた手が止まる。
「そんなに退屈なんですか?」
悠理は、もう一息だとばかりにさらに顔を摺り寄せる。
「はぁ、仕方ありませんねー」
清四郎の手からボールペンが離れた。
悠理は勝ったと思った・・・が、その瞬間。
清四郎が頭を少し反らせ、右手で悠理の頭を抱え込むと口付けてきた。
そのままその右手を後ろにあった悠理の腰にまわし一気に机と自分の間に引き寄せた。
悠理は気付いたときには、椅子に座る清四郎の膝の上に横抱きに座らされてしまっていた。
慌てて顔を離そうとするのだがしっかり左手で腰を抱かれ、右手で頭を後から押さえられている。清四郎の力にはどんなにあがいても敵わなかった。
キスをしながらも何とか離れようとする悠理にかまわず、清四郎は舌を絡めていく。
吸い上げたり、口腔内を舐めあげたりしていくうちに悠理もそれに応えるようにおとなしくなってきた。
完全に悠理の力が抜けたところで一度顔を離す。
はぁ、と小さく息を漏らす悠理に今度は優しく口付ける。
「せーしろうのバカ」
悠理は最後の抵抗とばかりに言う。
だが清四郎にとっては、とろんとした目つきで少し頬を染めながらのそれは甘い媚薬にしかならなかった。
「退屈だったんでしょ?」

悠理を自分の膝を跨らせる様に座らせ、両手で腰を抱いて首筋に舌を這わせていく。
右手で制服のボタンを上から順に外しにかかる。
全て外したところで一旦悠理を机に凭れ掛からせ制服とブラジャーを脱がせていった。
「・・や、・・やだ・・。せいしろ・・・」
今さら嫌だもないもんだと思いつつ、悠理の言葉を無視して小さなふくらみを揉みしだいていく。
先端が主張してき始めたのを合図に口に含み、舌で転がす。
「ん、・・・あ・・、はぁ・・」
悠理の手が頭に巻き付いてきた。そのまま腰を片手で抱き寄せ、もう片方の手はスカートの中に忍ばせていく。
腰を抱いていたその手でスカートのホックを外し、ファスナーを下ろしていった。
一旦顔を胸から離し、頭に巻き付いていた細い腕も外すと悠理の顔をにやりと見上げた。
何か企んでいそうなその顔に悠理は少し身体を引いた。
清四郎は悠理を抱えあげるとそのまま机の上に腰掛けさせた。
「な、何すんの?」
「何って、僕の膝の上じゃ出来ないこともあるでしょ」
グイっと一気に悠理の両足を机の上に持ち上げる。
悠理は腰掛けてた状態だったので、その反動で後に倒れそうになりとっさに身体の後に手をついた。
悠理の両足を立たせ広げると、清四郎はその間に自分の身体を挟み込み、また胸の膨らみに口を含み始めた。
「や、ちょっ・・、せいしろ・・」
「あんまり声を出すと、下にいるおふくろ達に聞こえますよ」
その間にも清四郎の手は徐々に下に降りていく。
スカートを脱がせ小さな布一枚になったそこを指で撫で上げていく。
「・・はぁ・・ん・・」
悠理の奥から湧き出す液体ですっかり濡れきっているその最後の一枚を脱がすと、清四郎はそこに顔を埋めた。
蕾を吸い上げ、舌で転がす。
逃げようとする悠理の腰をしっかり抱え込んで、さらに舌で舐めあげる。
「・・やぁ・・、はぁ・・・」
声にならない声を、もっと聞きたくて顔を離し又指を使い始めた。
顎を反らす悠理の露になった首筋にひとつキスを落とし、声をあげない様に耐えている口に深く口付けていく。
指を徐々に悠理の中に入れていく。
思わず逃げた悠理の顔を、空いている方の手で引き寄せもう一度口付ける。
入れる指を増やし、動かしているうちに悠理の膝がガクガクと震え始めた。
「悠理、大丈夫ですか?」
「・・や、せーしろ・・、あた・・い・・。・・ん・・はぁっ・・」
指を動かすのを止めない清四郎に、悠理はますます仰け反っていく。
悠理の限界が近づいて来ていそうなので、清四郎は一旦指を抜いた。
「ン・・はぁ・・」
清四郎は自分のズボンと下着を少しずらすと、悠理の腰を両手で抱いて机から降ろし、椅子に座る自分自身の上に跨らせた。
ゆっくりと、悠理の中に清四郎が入っていく。
悠理は身体を弓の様に大きく仰け反らせた。
悠理の細い腰をしっかりと掴んで、上下に動かす。
「ぃやぁ、・・・はぁ・・・」
「悠理、自分で動けますか?」
清四郎は悠理の腕を引き寄せ自分の首に巻きつかせた。
悠理は少しずつ腰を前後に動かし始める。
だんだんその動きが激しくなっていった。
「・・・っん・・・、はぁ・・・」
どちらのモノとももわからぬ声と肌と肌のぶつかる淫らな音の間隔がなくなってきた頃、二人は共に果てた。


菊正宗家からの帰宅の際、悠理から発せられた言葉は
「清四郎の変態!」
だった。

 

 

 

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