「愛を抱きしめて」 side−S



恋などというものを、自分はしない人間だと思っていた。

女性に興味がないわけではなかったが、それと恋愛感情とはまた別のものだから。

けれど自分でも気付かないうちに、悠理、お前は僕の心の中に入り込んでいた。

お前の天真爛漫な笑顔や言動に、自分がどれだけ癒されているかを知ったとき、

僕はずっとお前を自分のものにしておきたいと思った。

ずっと側においておきたい。
ずっと、離したくないと。



気持ちを打ち明けたとき、ただ笑って頷いてくれたお前。
愛しい。
愛しくて、抱きしめた。
手に入れたこのぬくもりを、いつまでも大切にしようと思った。




互いの体温を感じながら迎えた朝。
お前はまだ、夢の中。
全てを任せきったかのような、安らかな寝顔。

柔らかな髪を指に巻きつけ、その髪にキスを落とす。

「ん……」
眠ったまま、僕の胸に頬を摺り寄せてくるお前。

寝顔に浮かぶ、幸福そうな笑み。

どんな夢を見ているのだろう?

夢の中でも、お前が幸せであるといい。




「清四郎……」
悠理が、呟いた。
僕の夢?
途端にこみ上げる、どうしようもないほどの愛しさ。
ぎゅ、とその細い身体を抱きしめた。




守りたい。
お前の夢を、笑顔を。お前の、全てを。

天真爛漫なお前が、ずっとそのままお前らしくいられるように。

お前の頭上にある青空が、どこまでも広がっていけるように。




悠理の瞼が震え、ゆっくりと開いた。
僕を見つめ、陽だまりのような笑顔を浮かべる。

だから僕は、胸一杯の愛しさをこめて、囁きかける。




「おはよう、悠理」




end

(2005.11.2up)




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……悠理になりたい。(笑)

ネタ元はEXILEの「wishes」。

あんな男にここまで思われたら、無茶苦茶幸せだろうなぁ…という、願望を描いてみました。




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Material By Canaryさま