「ラブソング」



いつもいつも、清四郎と出掛けてばかりいただろ?
だから久しぶりに、一人だけで遊びに行こうって、あたい思ったんだ。

行き先も、目的も、何も決めないでさ。

とにかく、街の人波の中を歩いてみる事にしたんだ。



すごくいい天気でね?
雲なんか一つもない、綺麗な青い色の空だったから、あたい、いつの間にか、

ずっと空を見上げるように歩いてたよ。



何かガキみたいだよね?
あたいもそう思ってさ。
何か言われるんじゃないかって、つい、いつもの癖で右側を振り向いちゃったんだ。
隣には誰もいないのに、おかしいよね?

あたい何だか淋しくなっちゃって。

思わず立ち止まって街中に視線を戻したらさ。

すぐ目の前にスクランブルの交差点が見えてきたんだ。



赤信号でさ。
あたい、真っ直ぐ歩きたかったから、そこでまた、立ち止まったんだけど。

その立ち止まった場所が、CDショップのちょうど前で。

客が出入りするたびに、店の中のBGMが、外に聞こえてくるんだよ。

…少し前に流行った、ラブソングだったな…



あたい、信号待ちの間にその曲を何となく聞いてたんだけどさ。
とぎれとぎれに聞こえてくる、その曲を聞いてるうちに、涙が溢れてきちゃったんだ。


あたいはまだ、清四郎が好きで。

あたいはまだ、清四郎を忘れられなくて。



清四郎に「さよなら」って言った時、気付かなかった想いを、そのメロディーが教えてくれたんだ。
清四郎に言えないまま終わった心からの言葉を、その歌は詞に綴ってたんだ。



あたいは、その曲を聞きながら、流れる涙を止められなかったんだ…。


いつの間にか、信号は青にかわってて。
あたいはその場から逃げるみたいに、交差点を渡ったんだ。



曲はもう、あたいの耳には届いてこなかったけど。


あたいの頭の中では、ずっとラブソングが流れ続けててて。

あたいは清四郎の事を、ずっと想いながら泣き続けたんだ。


―… ずっと、青い青い空を見上げながら、歩き続けてたんだ …―





END





「作中のBGMは皆様のお好きな曲を当て嵌めてお読みください。

せつない「ラブソング」にお付き合いくださいましたみなさま、ありがとうごさいました。」


(T△T)。

千尋ちゃんからいただいた、50000ヒットのお祝いです。

このお話の清四郎編は、裏の10000打記念に…ということですが、現在千尋ちゃんはパソコン崩壊の為に、当分お預け。このSSは携帯で打ってくれたんですよ〜。

千尋ちゃん、ありがとう。清四郎編は絶対にハッピーエンドでお願い。m(__)m


 


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Material By 創天 さま