爪に薄くパールのマニキュアを施す。
ピンク系の三色を、爪の先から濃くぼかすように。
乾いたら、ピンセットでストーンを置いていく。
丁寧に、慎重に…
長めのラウンドカットの爪は女らしくて、好き。
奇麗なピンク色に染まり、桜貝のよう。
きらきらと輝くストーンは、海の宝石。
ストーンの上からオーバーコートを重ねる。
艶をました爪は、絵画のように美しい。
この爪を、あの人の口が含むのかしら。
指先に舌を這わせる口元が、好き。
艶めかしい、唇。
いつもの純情そうな瞳に、男が浮かぶ瞬間が、好き。
二人の肌に熱がこもるように、指先も熱くなっていく。
その感覚が、好き。
奇麗な筋肉の筋が浮かぶ背中に、あたしはこの爪を立てる。
その痛みすら気がつかぬように、あたしに溺れるあなたが、好き。
そんなあなたに我を忘れる自分も、好き…
「ごめん…魅録」
可憐は、ベッドに腰かけ、煙草をふかす魅録の背に頬を付けた。
「ん?」
「背中…痛かったでしょ…」
魅録の背に、細くいく筋もの紅い線が走る。
情事の後の痕跡。
魅録は煙草をもみ消すと、可憐の腕をとり、指先に口付けした。
「お前こそ、爪、大丈夫か?」
「ええ」
「こんな長い爪で、よくメシとか作れるな」
魅録が、くすりと笑った。
「嫌い?長い爪は…」
可憐が、拗ねたように問うと、魅録はぎゅっと可憐の手を握り、
「恐いんだよ…こんな華奢で奇麗な爪…傷つけたらと思うと…な」
オマエヲ、キズツケタラトオモウト、コワインダ
魅録の心がそう言ったように、可憐には聞こえた。
色っぽーい!!
かめおさんから強奪しました、なんとも素敵な魅録×可憐です。。
重度の清四郎偏愛の為、魅録には申し訳ないほど萌えない私ですが、これ読んで初めて萌 えました!これは黒部屋に置いておくのはもったいないんですけどね。恥ずかしいと仰るの で。
かめおさん、ありがと〜。